保健学科への招待



◎大阪大学医学部保健学科長
       荻野  敏

21世紀に入り日本の医学・医療の構造は大きく変化してきています。
超高齢化・少子化時代へ急速に突入し、これにともない在宅医療、看護、介助のニーズが増大してきました。また、移植医療、遺伝子操作、人工授精等が日常化して医療の現場に登場し、国際化が進み海外からの新種感染症等の侵入も問題化しています。

 こうした事態を背景に、時代に即応したより高度な技術の探求はもちろんのこと、患者の良き理解者となりうる看護職者、医療技術者の育成が求められています。

 文部科学省の21世紀医学・医療懇談会においてもこれらの問題が討論され、看護職者、医療技術者は医師の“イコールパートナー”と位置づけられ、医療人としての新しい教育改革が提言、実施されつつあります。


大阪大学医学部は、高度な技術をもち患者の心を理解できる看護職者、医療技術者並びにその分野の教育者・研究者の育成を使命として、平成5年10月に保健学科を設置しました。平成10年3月には第一期生を社会に送り出すとともに、同年4月には高度な教育研究機関としての役割と国民の健康増進に寄与する使命を担い、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻(修士課程)を開設し、平成12年4月には大学院博士後期課程の発足により、大学院博士課程としての陣容を整えました。

 さらに、平成15年4月に保健学科の大学院重点化に伴い、大学院医学系研究科保健学専攻の講座が再編(大学院講座化)されました。


大阪大学医学部は、蘭学と西洋医学伝習のため、幕末の1838年に緒方洪庵が開いた適塾をそのルーツとしています。保健学科では長年にわたり医学部内に蓄積されてきた極めて質の高い教育・研究資源を充分に活用することができます。

私たちは高度な医療技術をもって、広く社会に貢献できる人材を育てていきたいと思います。それには単なる医療技術習得のみで終わることなく、人間の心の痛みを理解できる豊かな人間性を身につけていくことも極めて重要です。

21世紀を担う医療のスペシャリストを目指す行動力ある若者の参加をお待ちしています。


阪大医学部
保健学科