第15回日本がん免疫学会総会

2011年 


OSAKA 
千里ライフサイエンスセンター  

6月30日-7月1日
15回日本がん免疫学会総会会長
      杉山 治夫

 大阪大学大学院医学系研究科
   機能診断科学講座 教授

第15回日本がん免疫学会総会の開催にあたって

このたびの東北東日本大震災により被害を受けられた皆様に心よりお見舞いを申し上げますとともに一日も早い復興をお祈りいたします。

15回日本がん免疫学会総会にあたりまして、御挨拶を申し上げます。

思い起こしますと、1996年頃から私達阪大グループは、抗原としましてWT1ペプチドを用いましたがんの免疫療法の基礎研究を開始いたしましたが、参考文献もまだまだ不十分で、試行錯誤しておりました。その頃、濱岡利之先生(第3回基盤的癌免疫研究会会長、現大阪大学名誉教授)から、がん免疫の研究会があるので、一度勉強に来たらどうかというお誘いをいただき、本学会の前身であります基盤的癌免疫研究会にはじめて出席いたしましたところ、こんなすばらしい研究者集団が日本にあったのだと感激いたし、「闇夜の灯火」を見つけた思いであったことが脳裏に強く焼きついております。その後は、この研究会に欠かさず出席いたし、一番前で、受験生のように、必死に発表を聞き、メモを取り、私達の研究の方向を示してくれる光を探しておりました。その後、基盤的癌免疫研究会は、御存知のごとく日本がん免疫学会に発展いたしました。本学会は、日本のがん免疫の基盤的研究とトランスレーショナルリサーチを主導し、日本のがん免疫学の発展に多大なる貢献を果してきました。

抗体療法は、抗原抗体反応というきわめて特異性の高い反応を利用しているため、分子標的療法としては黄金期を向えているように思います。また、細胞療法やペプチドワクチン療法は、客観的な臨床効果の証明とそのProof of Conceptの確立のため、確かながんの治療法としての位置を獲得しはじめていると考えております。免疫療法は、手術、化学療法、放射線療法の3大療法につぐ第4の治療法といわれるようになり、その臨床効果が確かなものになろうとしておりますが、まだ4番目に行う治療法の感がまぬがれません。しかし、近い将来、がんが発見され次第、最初に免疫療法を開始し、その後、3大療法といわれる治療を行ない、静止期癌幹細胞を死滅させうると考えられます免疫療法を、癌が完治したと確信されるまで続けるような時代が来るのではないかと考えております。

本総会では「がん免疫療法−躍進と未来への展望」というキャッチフレーズのもと、本学会の従来からのコンセプトを基本にしながらも、今回は「シンポジウム 2.がん免疫研究を支える基盤研究の進歩」でより基盤的で、今後のがん免疫研究のヒントになると考えられます研究を紹介していただくことにいたしました。特別講演におきましては、岸本忠三先生は、「炎症と癌:IL-6の発見から抗体医薬開発へ」というタイトルで、IL-6を中心にした、がん免疫を包含しました免疫学全体を見通した免疫学をお話していただけるものと考えております。また、Keilholz先生は、ヨーロッパでメラノーマの免疫療法で活躍しておられますが、今回は、WT1ペプチド免疫療法の話をしていただけるとのことです。

本総会は、森正樹先生と熊ノ郷淳先生の御支援のもと、準備を進めて参りましたが、総会参加者の11人に、なんらかの知的インパクトがありますよう祈っております。是非とも活発な論議をお願い申し上げます。


updated: 2011/6/1