厚生労働省の電子カルテに対する取り組みを時系列を追って紹介しています。
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厚生労働省(旧厚生省)の電子カルテに対する取り組み
 
1998年1月20日
全国厚生関係部局長会議資料
4.医療における情報化の推進について
-(2)研究開発中の事業について
 平成6年度から平成8年度に実施した「新医療情報通信網基盤整備開発事業」及び平成7年度補正予算事業の「診療録の電子的保存の標準化(電子カルテ)」で得られた成果を引き継いで、平成9年度より「高度情報社会医療情報システム構築推進事業」に着手している。
 本事業は、情報化社会において、様々な利用者が高度で多様な情報を活用できる医療情報システムを構築するための研究開発であり、電子診療録を出発点として、医療機関の内外にわたる統合的医療情報システムの構築を目指すものである。
 
1998年6月18日
「カルテ等の診療情報の活用に関する検討会」報告書概要(抜粋)
7 電子カルテ等について
・ 診療情報の電子化は、患者に対する質の高い医療の提供に貢献するものであり、今後一層推進していくべき。
・ 診療情報の電子化を図るに当たっては、プライバシーの保護や改ざんの防止等の安全性確保を図ることが必要。
・ 診療録等の保存期間については、診療記録の社会的役割を重視し、相当期間延長する方向で見直すべき。
 
1999年3月11日
法令に保存義務が規定されている診療録及び診療諸記録の電子媒体による保存に関するガイドライン等について
 規制緩和の一環であり、電子媒体に保存したい施設が自己責任において実施することを妨げないことを確認するためのもの。(電子媒体に保存することを強制するものではない。)またこのガイドラインは今回の通知をもとに現状に合わせて具体的方策を説明したものである。
 
1999年4月22日
診療録等の電子媒体による保存について
 診療録等について、しかる基準を満たす場合には、電子媒体による保存を認めるとともに、その実施に際し、留意すべきことを示す。(この基準は、診療録等の電子媒体による保存を行うに際してのものであり、診療録等の情報活用を行うに際しての基準ではない。)
 
2000年5月12日
病院前救護体制のあり方に関する検討会報告書(概要)
 救急救命士を含めた医療従事者が作成する諸記録を電子媒体により保存することが可能となった ことから、救急救命処置録の電子媒体による記録及び保存の方法等について、関係機関はいわゆる 電子カルテの開発・普及状況等を踏まえつつ、電子媒体による救急救命処置録の記載及び保存に関 する技術関発を積極的に行うべきである。
 
2000年8月18日
「新事業分野開拓の実施に関する計画」の認定について
1.認定制度の概要
 新事業創出促進法は、株式公開を目指すベンチャー企業を支援することを目的としており、同法に基づき「新事業分野開拓の実施に関する計画」(以下「認定計画」という。)の認定を受けた企業は、ストックオプションの特例など商法の特例措置の利用が可能となる。
2.認定企業の概要
 会社名:株式会社シーエスアイ
 事業の内容:平成11年4月に電子媒体による診療録等の保存が認められたことを受け、インフォームドコンセント、
        病病・病診連携など多様な患者/病院ニーズに応じ質の高い医療をサポートするために、病院・診療所
        に対応する電子カルテシステムを製造販売すること。
 
2000年8月25日
平成13年度厚生労働省所管概算要求関係
第1 豊かで活力ある長寿社会に向けた総合的戦略の推進〜メディカル・フロンティア戦略の推進〜
 働き盛りの国民にとっての二大死因であるがん及び心筋梗塞、要介護状態の大きな原因となる脳卒中、痴呆及び骨折について、地域医療の連携を重視しつつ、先端的科学の研究を重点的に振興するとともに、その成果を活用し、予防と治療成績の向上を果たすため、総合的な戦略である「メディカル・フロンティア戦略」を推進する。〈予算要求額 359億円〉
 
電子カルテの普及推進(特別枠)5 .5億円
・ 医療情報の標準化の推進を図るとともに、電子カルテ情報等を安全に共有、保存、伝送するシステムを開発。
・ 国立病院・療養所における高度専門医療施設を中心に電子カルテを導入。
 
2001年1月18日
平成13年度予算(案)の概要
ITの活用による医療提供体制の整備 (0→592百万円)
・地域医療の充実のための遠隔医療の実施 (0→499百万円)
  地域医療の充実を図るため、かかりつけの診療所と専門病院をネットワークで結んで、画像診断、病理診断等
 を行うとともに、往診、通院が困難な在宅の患者と医療機関をテレビ電話で結んで、患者に対する指導を実施。
・電子カルテの普及推進 (0→93百万円)
  医療情報の標準化の推進を図るとともに、電子カルテ情報等を安全に共有し、保存、伝送するシステムの開発 。
 
2001年3月5日
医療制度改革の課題と視点(報道発表資料)
 電子カルテ等による情報化の推進
・医療分野における情報化は、医療従事者同士による診療情報の共有などにより、医療の質を向上させるだけではなく、
 安全性の向上にもつながり、さらに、業務の効率化にも寄与すると考えられています。
・厚生労働省も情報化を推進するために、
 1)平成11年4月には、関係局長通知により診療録等の電子保存、いわゆる電子カルテを認めるとともに、
 2)診療情報の用語・コードの標準化や病院間での情報伝送におけるセキュリティの確保といった技術面での取組を進めており、
 3)さらに、平成12年度補正予算において医療施設の情報化に補助しています。
 
2001年4月13日
規制改革に関する検討状況の最終公表について
 カルテの電子化の推進
平成11年4月にカルテ等の電子保存を認めたところ。また、平成13年度予算において、診療情報の標準化の推進並びに電子カルテなどの医療情報を安全に共有、保存するシステム及び安全な伝送のために不可欠である電子認証システムの開発等を行うための「高度医療情報普及推進事業(仮称)」を盛り込んでいるところ。
 
2001年8月8日
保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン(第一次提言)について
 2002年から概ね5年間を見据えた保健医療サービスにおける情報化計画を策定。保健医療サービスの「質の向上」と「効率的なサービスの提供」を大きな目的とし、達成のための道筋と推進方策を国民に分かりやすく示す。
 
1994年の中間報告以降の保健医療分野における情報化の現状
・医療機関内の診療情報の電子化が進み、診療録の電子化(いわゆる電子カルテ)が可能となり、また独立して処理されることの多かった画像情報も院内診療情報の一部として一体的に扱うことが可能になった。また、インターネットの普及等、ネットワークのインフラ整備が進んだことにより、外部の医療機関との間で診療情報等の交換が可能となり、医療機関相互の連携が強化される素地が形成された。
 
・保健医療情報システムを支える技術的環境が整備されてきたこと、質の高い医療に貢献するため診療情報の電子化を推進すべきとの考え方が示されたこと等を受けて、診療録等の電子保存について、真正性の確保、見読性の確保、保存性の確保の3つの基準を満たす場合に電子媒体での保存を認める通知が1999年 4月に出され、これを一つの契機として電子カルテの医療機関への導入が進みはじめている。
 
・院内システムとしての電子カルテシステムについては、これを導入する病院・診療所が増加し、普及段階に入りつつあるものの、病院・診療所の機能分担、機能連携が求められる中で、診療情報の共有により、地域医療の向上を目指す医療機関相互のネットワーク構築という視点からは未だ普及レベルには達していない。
 
・ICカードについてはデータキャリアとしての役割は重要性を失いつつあるが、ネットワーク上の認証ツールとして電子カルテとの組み合わせが検討されつつある。
 
2001年8月28日
平成14年度厚生労働省予算概算要求の主要事項
第4 国民が安心・信頼してかかれる医療の確保
 先端的科学技術を活用した医療の展開を図り、ITを活用した医療の推進をはじめ、患者の視点に立った安心かつ質の高い医療を効率的に提供する体制を整備する。医薬品・医療用具等の安全性の確保対策を推進する。
 -2 医療の質の向上を目指した医療提供体制の充実 1,444億円
  -(1)IT化による医療提供体制の整備 25億円
・電子カルテ等を用いた保健医療情報システムの整備 11億円
  医療情報の標準化を推進するとともに、電子カルテ情報等を安全に共有、保存、伝送するシステムを開発する。
・地域医療連携の構築を目指し、医療機関をネットワークで結び、医療情報を共有化するなど質が高く効率的な医療の実現を図る。
 
2001年9月25日
医療制度改革試案−少子高齢社会に対応した医療制度の構築−(抜粋)
第2 保健医療システムの改革−21世紀保健医療ビジョン−
-II 医療提供体制の改革
-2.当面進めるべき施策
-(2)医療のIT化の推進
・電子カルテシステムの導入促進のため、用語、コード、様式などの標準化を平成15年度の完成を目途に進める。
・患者情報にアクセスする資格を認証するシステム(電子認証システム)について、技術面・制度面から検討を進め、  結論を得る。(平成15年度)
・病歴等診療情報の病院・診療所間での共有、効果的活用による地域連携診療体制の充実に向け、電子カルテによる診療  情報提供共有化モデル事業を実施する。(平成14年度)
・電子カルテの施設外保存を可能とする規制緩和を行う。(平成13年度)

 
2001年9月28日
平成14年度厚生労働省構造改革特別要求に係る施策(対財務省要求)
世界最先端のIT国家の実現(23億円)
・地域医療連携のための電子カルテによる診療情報共有化の推進(5.5億円)
  地域医療連携の構築を目指し、医療機関をネットワークで結び、医療情報を共有化するなど質が高く効率的な医療の実現を図る。
 

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Matsui Hiroko 大阪大学医学部保健学科 医療情報学研究室 2001年11月20日