内田勝先生追悼文06


 

内田 勝 先生を偲んで

 

医療短期大学3期生 小水 満

内田 勝先生の突然の訃報をお聞きして驚いています.謹んでお悔やみを申し上げます.

この度,内田 勝先生を学友会として追悼するにあたり,関係各位から内田先生を偲んで思い出を綴ることになりまました.私の場合は,おそらく,少し他の方々とは門外漢な内容となると思いますが,一筆をとって参加させて頂きます.

私は,1944年に医療短期大学に入学した医短3期生です.従って,内田先生の講義は残念ながら直接受けていません.しかし,医療短期大学の入学から卒業,さらに臨床での実践の場において,技師学校や専攻科の諸先輩からお聞きした内田先生のお人柄や日本放射線技術学会,医療画像情報学会等を通した講演などでは,常に,診療放射線技師教育として熱心に指導して頂きました.そのようなことについて,私が思う内田先生として少し回顧することにしました.

まず,私が,最初に内田 勝先生の名を記憶したのは,医療短期大学に入学した 4月の学生掲示案内板に内田 勝教授が宮崎大学に移動されたことの掲示でした.何故か,診療放射線技師養成学校がどんな学校であるかも理解していない私が,掲示版にあった内田先生の名前が他の多くの掲示があるなかで,今でも鮮明に記憶に残っているのは不思議な思いです.次は,卒業後,多くの先輩から必ず聞かされた内田先生評です.殆どの先輩の方々が云われるのは,厳しい先生で,テストが難しく科目の単位取得が大変困難であったとのことでした.しかし,云われた方々は皆優秀な方々ばかりであり,内田先生の学問に対する技師教育の厳しさを直接的に受け止めることができる方だったようです.

このようなことが,最初の私の内田 勝先生観でした.そして,診療放射線技師として医療現場で臨床に携わる傍ら,特に医用画像評価に興味を持ちはじめたころ,日本放射線技術学会では画像部会,画像分科会の発足では内田先生が大変ご尽力されました.当時の立ち上げ過程での発足の必要性のお話では,私のような若輩者であっても先生の熱意がよく理解できたことが記憶しています.この頃から,内田先生のお話を直接お聞きする機会が増えてきました.

画像および画質評価では,工学系で確立されている多くの評価方法を医用画像に適用されて,その方法論の解説を全国的に展開され,診療放射線技師教育への努力を惜しむことなく行っておられました.画像評価を専門にしようとしていた私にとっては,常に身近に画像を教えて頂いた先生と思って感謝いたしています.

内田先生の著書の1つに放射線技術者のための画像工学(通商産業研究社出版)があります.この本は,画像論の基礎として大変よくまとめてあり,診療放射線技師がX線撮影を行うためや画像を研究する若い診療放射線技師にとって必読書であると思っています.

私が思う内田 勝先生は,常に新しい画像論を追い求めると同時に診療放射線技師に目を向けた教育をして頂いたと思っています.現在の技術学会などの画像分野で活躍されています方々は,多かれ少なかれ先生の教育を受けておられるのではないでしょうか.内田 勝先生の意思は,今後さらに受け継がれるものと思っています.

大変ありがとうございました.ご冥福をお祈りいたします.