がん医療ビッグデータ利活用ベーシックコース
代表 ご挨拶
コース責任者 :教授 下川 敏雄

本コースでは、がん医療ビッグデータを利活用するための素養を身につけることを目標にしています。医療ビッグデータに限らず「データサイエンス」を学習する場合、統計学に焦点が当てられることが多いですが、本コースでは、統計学に加えてデータリテラシーを学習するとともに、がん疫学に関連する学術的な知識を身につけるための講義、さらに、人を対象とする医学系研究を実践するために必要なレギュラトリーサイエンスについても学習します。
また、データサイエンスを「実践」するには、統計ソフトウェアあるいはプログラミング言語のスキルが必要になります。そのため、演習を通じてこれらのスキルの取得を行います。
(1) データサイエンス
データサイエンスでは、医療統計学およびデータマネジメントに関する知識・応用について学びます。医療統計学では、生存時間解析を中心に学ぶとともに、傾向スコア分析およびデータマイニング・機械学習といったビッグデータを解析するための方法について学習します。また、統計解析環境Rでの演習を行います。データマネジメントでは、リレーショナル・データベース(RDB)および、データ統合(data integration)に関する基礎的な知識を学びます。さらに、医療ビッグデータがいわゆる観察研究の位置づけになることから、がん疫学に関する諸種の統計指標の意味、および観察研究(疫学研究)のデザインの方法について学びます。
(2) レギュラトリーサイエンス
近年、人を対象とする医学系研究に関するレギュレーション(人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針等)が毎年のように更新されており、医療ビッグデータを利用する上においては、次世代医療基盤法(医療ビッグデータ法)についても十分な知識が必要になります。レギュラトリーサイエンスでは、これらのレギュレーションにについて学ぶとともに、指針・法令等を遵守した研究の遂行に必要な知識を養成します。
修了要件と履修方法
【講義】
- データ・アナリティクス(4単位)(推測統計学概論、生存時間解析、がん疫学研究概論、統計的因果推論)
- データ・マネジメント(1単位)(データマネ ジメント概論)
- レギュラトリーサイエンスに関連する講義(1単位)(統合指針および臨床研究法等)
【特別講義】
- がん疫学研究の実際(1単位)
- 医療ビッグデータの現況(1単位)
【演習】
- データ・アナリティック演習(4単位)(統計的推測、生存時間解析、データマネジメント)