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[2009年10月8日(VOL.42 NO.41) p.36]

第58回日本医学検査学会

SMBGの使用時は温度変化に留意を

 自己血糖測定器(SMBG)の登場で糖尿病患者が自宅で簡便,迅速に血糖値を測定できるようになったが,一定でない環境下ではさまざまな影響が懸 念される。川崎医療短期大学臨床検査科の永瀬澄香准教授は,3種類のSMBGを検討したところ,温度変化が測定値に影響することが示唆されたと横浜市で開 かれた第58回日本医学検査学会(学会長=桐蔭横浜大学医用工学部生命医工学科・米坂知昭准教授)で報告した。

低温,高温のいずれでも有意に影響

 永瀬准教授は,川崎医科大学病院で使われている3つのSMBG(グルテストエースR,アセンシアブリーズ2,ワンタッチウルトラ)を比較,検討し た。いずれも測定原理はグルコースオキシダーゼ(GOD)電極法であり,血中グルコースがセンサーの試薬部分に反応し,フェリシアンカリウムを還元,電気 的酸化で生じる電流を測定する仕組みとなっている。

 温度変化の検討は室温(22℃)と低温時(4℃),高温時(30℃)で行った。ベース検体のグルコース添加は低,中,高濃度の3種類を用い,本体とセンサーを設定温度で放置した後に測定した。

 すると低温時ではいずれの濃度でも室温より有意な高値を示す結果となった。逆に高温時は室温より有意に低値となり,ばらつきも目立った(図)。

図

 以上から,同准教授は「SMBGは病院医療だけでなく在宅医療にも普及が進むと思われるが,屋外などで使用すれば季節の温度変化が測定値に影響を 及ぼす可能性がある」との見方を示した。そのうえで「本体とセンサーの保管に十分注意し,使用時にはコントロール溶液で精度管理を行う必要がある。インス リン投与などの血糖値の指標とするならば自動分析装置による血糖値測定の確認が重要である。臨床現場ではSMBGの有用性と問題点を把握し,正しい使用方 法を啓発することが大切」と結んだ。

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