このページでは、私がいままで実際に拝観・見学したことのある、通常公開されていない仏像・仏画・宝物などについて記録しています。（製作途中）

秘仏チェック

• 千手観世音菩薩立像【三室戸寺（京都府）】
  1925年以来、84年ぶりに開帳された貴重な機会でしたので、2009年11月に拝観してきました。千手観音ゆかりのもともと胎内仏でいらっしゃったということですので、観音像自体は千手観音のお姿ではありませんが、飛鳥仏の特徴をもつちいさな金銅仏で、過去の火災の影響か真っ黒でいらっしゃいました。ご祈祷を受けた後に内々陣での拝観ができました。
• 千手観世音菩薩立像【正法寺（滋賀県）】
  元正天皇のご念持仏だったそうで、2009年11月に19年ぶりのご開帳を拝観してきました。しかし19年前（1990年）は365年ぶりのご開帳だったそうですので、かなり長い間秘仏として守られていたようです。小さな金銅仏の千手観音さまで、内々陣で拝観させていただきました。
• 十一面観世音菩薩立像・千手観世音菩薩立像【金剛宝寺護国院（紀三井寺）（和歌山県）】
  紀三井寺には本尊がお二人、並んで厨子に安置されており、どちらも本来は50年に一度のご開帳です。本堂の後ろの大光明殿というお堂の奥に厨子が安置されており、2009年10月に間近で拝観しました。穏やかな、少しのんびりした感じの木彫の仏様でした。次は2019年だそうです。
• 千手十一面聖観世音菩薩【長命寺（滋賀県）】
  長命寺のご本尊は千手十一面聖観世音菩薩三尊一体と称し、本堂の厨子の中央に千手観音像、向かって右に十一面観音像、左に聖観音像の三体の仏様が並んで安置されています。2009年10月、1948年以来、61年ぶりのご開帳で拝観しました。少し小ぶりの落ち着いた仏様でした。
• 如意輪観世音菩薩坐像【頂法寺六角堂（京都府）】
  136年ぶりのご開帳が2008年秋と2009年春にありましたので、2009年3月に内陣まで上がって拝観しました。5センチほどの小さな仏様が、3重くらいの厨子に納められており、お前立ち像の横から見ることができました。素朴な木像です。
• 絹本着色　黄不動尊【三井寺（滋賀県）】
  三井寺中興の祖、智証大師円珍が修行中に目の前に出現した金色の不動を描かせたもので、2008年に行われた智証大師帰朝1150年記念の展覧会で拝観できました。通常は宗教行事のときに、特定の僧侶しか拝むことがかなわないそうです。
• 御骨大師および中尊大師像【三井寺（滋賀県）】
  2008年に行われた智証大師帰朝1150年記念の展覧会で拝観できた、智証大師円珍の像。御骨大師像は胎内に智証大師の遺骨が納められており、特に御骨大師は通常は厨子の中に厳重な秘仏として納められていてほとんど開帳されません。
• 新羅明神坐像【三井寺（滋賀県）】
  2008年に行われた智証大師帰朝1150年記念の展覧会で拝観できた、智証大師円珍と三井寺の守り神の像です。これも通常は公開されていない秘仏です。特異な顔立ちをしているのが特徴です。
• 如意輪観音坐像【三井寺（滋賀県）】
  2008年に行われた智証大師帰朝1150年記念の展覧会で拝観できた、観音堂の本尊です。通常は三十三年に一度のご開帳だそうです。
• 千手観音立像【粉河寺（和歌山県）】
  西国33ヶ所霊場の一斉開帳で、2008年秋に217年ぶりに開帳された仏像です。粉河寺の本尊は甕か何かに入れて本堂の下に埋めているらしく、千手堂というお堂の本尊が代わりに開帳されました。金ぴかの仏像でした。
• 十一面千手観世音菩薩立像　【清水寺本堂（京都府）】
  京都の清水寺で33年に一度開帳されるご本尊です。
  左右にいくつもある手のうちの一組が頭の上に化仏を差し上げている珍しい千手観音像です。同じ形のお前立ち像はみたことがあり、写真にもなって公開されていますが、ご本尊はほぼ同じ様相であるものの写真などがないため、2001年の開帳のときに自分の目に焼き付けてきました。ご本尊の指に絡ませた紐が拝観の場所にまで伸びてきており、それを握ることでご本尊に触れたと同じ功徳をということでした。お前立ち像にくらべて渋い印象でした。次は2034年？・・・と思っていましたら、西国33ヶ所霊場の一斉開帳で、2008年秋に再度拝観できました。
• 観世音菩薩立像　【法隆寺東院（奈良県）】
  救世観音として知られ、法隆寺の東院伽藍夢殿に安置されている仏像です。
  永年秘仏として扱われてきましたが、明治になって外国人美術家が半ば強引に厨子を開けて姿をあらわにしました。いまは春秋に定期的に開帳されていますので、厳密には秘仏とはいえませんが、そのアルカイックスマイルや独特の手のあらわしかたを大変よい状態で目の当たりにできるのは、永年大切に秘仏として守ってきた人々あってこそと思えます。いつもは夢殿の薄暗い中で厨子の外から見える部分しか拝観できないのですが、一度だけ修復のためということで、厨子から出され、明るい室内で四方からゆっくりと拝観できる機会がありました。横からみると独特の腰のくびれがあるなど、新たな魅力が実感できました。
• 上宮太子坐像　【法隆寺聖霊院（奈良県）】
  法隆寺聖霊院のご本尊で、聖徳太子45歳のときの坐像とされています。
  きびしいお顔の像で、威厳に満ちており、毎年3月22日のお会式のときのみ開帳されます。像の胎内には須弥山にのった小さな観音様の立像が納められており、ちょうど太子像の口の位置に観音様の目があるそうです。聖徳太子の発する言葉は観音様のお言葉という気持ちにさせる像です。
• 一字金輪佛頂尊坐像　【中尊寺（岩手県）】
  金色堂で有名な平泉の中尊寺に奉られている仏様で、人肌の仏様といわれるとおりの色合いとやわらかさを持った坐像です。
  開帳されることはほとんどないのですが、開山1150年祭として2000年に開帳されました。浮き彫りのように前半身のみの坐像で、目に見えないはずのお姿を半分こちらの世界に現してくださったかのようです。智慧と慈悲のお姿だそうで、奥州藤原家第三代秀衛公の念持仏でした。この仏様を拝観した日には、本堂奥で、金色堂に納められている藤原三代のミイラの調査記録映画もみせていただきました。
• 鑑真和上坐像　【唐招提寺御影堂（奈良県）】
  有名な渡来僧鑑真和上の坐像で、年に3日間のみ拝観できます。
  非常に写実的な坐像でいつまでも見ていると、何も話さずして人を導いている僧侶と対座しているかのようです。安置されている御影堂のお部屋の障壁画（襖絵）は東山魁夷画伯が12年かけて描いたものです。障壁画の中には和上像に隠れて見えない部分があり、和上にのみ見ていただくために描いたのだとか。
• 薬師如来立像　【延暦寺根本中堂（京都府・滋賀県）】
  天台宗総本山である比叡山延暦寺の本堂、根本中堂のご本尊。伝行大師最澄作とされています。開創以来消えたことのない不滅の法灯に守られ、根本中堂内々陣の厨子に収められています。比叡山開山何年かの記念で開帳されました。あの比叡山のご本尊にしては非常に小ぶりなお姿で、素朴な印象がしました。
• 執金剛神立像　【東大寺法華堂（奈良県）】
  東大寺の三月堂として知られている法華堂の守護をされている神像です。
  ご本尊である不空羂索観音立像の背後の厨子に納められ、年に一回、一日だけ12月に開帳されます。1000年以上前のものにもかかわらず、彩色が所々残っている躍動感溢れる像です。このような神像が後に金剛力士像（仁王像）に発展したのだとか。
• 吉祥天女画像　【薬師寺宝蔵殿（奈良県）】
  薬師寺にある画像で、年に二回ほど開帳されます。
  美しい天女をかたどり、光明皇后をうつしたともいわれる彩色の美しい像で、麻布に描かれています。1000円切手にもなりました。
• 瑠璃光薬師如来立像　【三千院門跡震殿（京都府）】
  京都大原三千院のご本尊で伝行大師最澄の手彫りとか。千二百年間誰も拝見したことがないとされたこの仏像が2002年初秋に1ヶ月間開帳されました。
  仏像自体は開帳初日の新聞などに写真が公開され、また実際にこの目で見ましたが、金色に輝いており、厨子の内部も大変きれいな金色で、たぶん千二百年の間一度も開いたことがないというわけではなく、時々拝んで手入れをされていたのだと思いました。
  三千院はやはり往生極楽堂の阿弥陀三尊像のほうに惹かれます。

未公開宝物チェック

• 国宝源氏物語絵巻【徳川美術館（愛知県）】
  毎年11月末にのみ少しずつ公開される、非常に有名な絵巻で、2008年に「橋姫」と「宿木（三）」が公開されたのを拝観してきました。思っていたよりも暗い色調で、小さなものでした。
• 上宮太子二王子像　【御物】
  ある特別展に少しの間出品されていたもので、複製は何度もみたことがありますが、実物は通常、天皇陛下の宝物（御物）として京都御所の蔵に収められており、この特別展は目にすることのできる貴重な機会でした。聖徳太子が二人の王子を従えて歩みを進めている大変有名な画像です。想像よりも大きなもので、実物でしか味わえないような重みを感じることができました。こういう機会は今後も非常に少ないと思われ、今度いつ見ることができるのかと思います。
• 法華義琉　【御物】
  これもある特別展に出品されていたもので、同じく御物として通常は公開されることはありません。聖徳太子直筆の巻物で、経典の解説書らしいです。字の上手下手という次元ではなく、聖徳太子が千四百年前に自ら書いた字であると考えるだけで、えもいえぬ感動でした。
• 螺鈿紫檀五弦琵琶　【正倉院宝物】
  教科書にも出てくる大変有名な正倉院宝物の代表格。たまに秋の正倉院展に出展されます。螺鈿で彩った紫檀の琵琶で、その螺鈿では椰子の木の下で琵琶を弾く異邦人が描かれています。シルクロードの終着点が正倉院という話がこの琵琶ひとつによって説得力のあるものになります。ずいぶん前のものなのですが、想像以上に非常に美しい状態です。
• 開眼縷　【正倉院宝物】
  東大寺大仏開眼のとき、開眼のため菩提遷那という渡来僧が大仏の目に瞳を描いたのですが、その筆に結ばれた長い紐を聖武天皇以下参列の重臣や民人が手にとって開眼を行ったと伝えられています。この開眼縷はまさにそのときに筆に結ばれていた紐。これを当時の人々が列をなして握っていたと思うと歴史の重みを感じます。開眼の筆も別に残されており、何度も宝物が流出したとはいえ、さすが正倉院です。
• 旧金堂内陣焼損壁画　【法隆寺特別収蔵庫（奈良県）】
  法隆寺の特別拝観に応募したところ当選し、特別拝観料2000円で見てきました。
  この焼損壁画は、戦後すぐ、法隆寺金堂内陣全焼という惨事で焼けてしまった天平の貴重な数々の壁画を、そのままの状態で後世に伝えるために樹脂で固定して収蔵したもので、金堂内陣の形のままに焼損した柱や壁画が収められています。
  収蔵庫内は樹脂の匂いが鼻をつき、目に染みる状態でしたが、間近に焼損壁画を拝見できました。壁画は爛れ、炭化しているものも多く哀れな状態でしたが、幸いにも小欄間の天女像はすべて焼けずに残っており、千数百年の香りを感じさせるものでした。