ツインリサーチ
(Twin Research)
遺伝子の発現制御は、DNAの塩基配列により規定されていると考えられていましたが、 近年、後天的なDNA修飾(例えばDNA塩基のメチル化やヒストンの化学修飾)により遺伝子発現が変化することが明らかになってきました。
この環境ストレスが惹起する後天的DNA修飾による遺伝子の発現制御を探求する学問が「エピジェネティクス」です。
生活習慣病をはじめ、多くの疾患は遺伝因子と環境因子によって発症や病態が規定されていますがその詳細は不明です。 しかし、一卵性と二卵性双生児の比較により疾患の成因を詳細に探求することが可能であることより、今、ツインリサーチが注目されています。
「環境因子が疾患感受性遺伝子の発現制御に及ぼす影響に関するツインリサーチ」を行っています。
成果の例
甲状腺自己抗体が出現する/しないが不一致の一卵性双生児ペアを解析したところ、特定の遺伝背景(SNPの遺伝子型)をもつペアでのみ、自己抗体陽性と陰性者の間でDNAメチル化率に変化がみられた。このような遺伝背景が少なくとも4種類見出された。
すなわち、遺伝背景により表現型に影響するメチル化の場所が異なることを示した初めての例。一卵性双生児でしか解析できない。
(Watanabe, M., Takenaka, Y., Honda, C., Osaka Twin Research Group, Iwatani,
Y.: Genotype-based epigenetic differences in monozygotic twins discordant
for positive anti-thyroglobulin autoantibodies. Thyroid 28(1): 110-123, 2018, doi:10.1089/thy.2017.0273)