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研究内容の紹介

研究方針

光(レーザ光)はヒトに優しい低侵襲な臨床診断技術を提供する有望なツールとして期待されており、単色性や可干渉性などのレーザ光の特徴を活かした生体光計測技術の新たな展開が注目されています。とくに、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)は生体表皮下1〜2mmの断層イメージを10〜20ミクロンの空間分解能でin vivoで取得できる画期的な光イメージング技術です。OCTは眼科の網膜診断をはじめ、皮膚科、循環器系、消化器系などの様々な臨床分野への適用が検討されています。当研究室では、OCTを中心として生体の構造・機能を検出し、これをもとに臨床現場で利用できる新たな光診断法を提案・開発することを目的に研究を進めています。


研究内容


「OCTによる精神性発汗の動態解析」○○○○○○○○イメージ

皮膚交感神経の支配下で機能するエクリン汗腺や末梢血管は、血圧調節に関わる重要な微小器官であり、これらのダイナミックな生理機能を解明することによって、交感神経に関わる疾患などの新たな臨床診断の提案が期待できる。我々はダイナミックOCTを開発し、ヒト指先におけるエクリン汗腺の精神性発汗をインビボ観察し、その動態解析を試みている。とくに、ヒト指先の汗腺は外部刺激に反応して、らせん状管腔が急激に膨張して過剰の汗を蓄積することを見出し、これをもとに時系列に取得したOCTから汗腺ダクトに蓄えられる瞬時発汗量の時間変化を追跡した。さらに、精神性発汗の動的解析より新たに内部発汗を見出し、交感神経の興奮度の評価を試みている。


「OCTによる末梢血管系の動態機能解析」

ヒト指では表皮下およそ2mmの深さの範囲に、小動脈、小静脈、細動脈、細静脈、AVAを含む末梢血管系が存在する。これら末梢血管の血管壁は内膜・中膜・外膜で構成される。小動脈の中膜は5〜6層の平滑筋から成り、OCTイメージ上では血管内腔が黒い帯で明確に縁取られたように見える。この小動脈はヒト血管系の中で弾性動脈と筋型動脈の二つの機能を合わせ持つ血管であり、心拍に同期して血管内腔が収縮・拡張を繰り返すことをOCTの実時間イメージングで確認できる。さらに、上述の汗腺と同様に末梢血管系は交感神経の支配下にあり、我々は被験者に音刺激を与え、平滑筋が収縮して中膜厚が増加して小動脈の内腔が一時的に収縮する過程をin vivo観察することに成功している。



「生体レーザアブレーション/光凝固層の実時間OCTイメージング」

レーザアブレーションはこれまでレーザーメスに代表されるように、生体組織の蒸散、切開に用いられており、最近では角膜矯正/形成術にも利用されている。このとき、レーザパルス照射によって組織がどの程度はく離され、周辺組織がどのようにダメージを受けて変形されたかを知ることが重要である。我々はレーザアブレーションとOCTを組み合わせてクレータをin-situ観察する手法を提案した。さらに、生体軟組織のレーザ光凝固過程のOCTを用いた実時間イメージングから凝固組織の減衰係数を計測し、レーザ光凝固層の定量評価を試みている。




「KTN光偏向器を用いた高速En face OCTの開発」 (AMEDプロジェクト)

タンタル酸ニオブ酸カリウム(KTN)は高い電気光学(EO)効果を持つ結晶であり、高速の光偏向特性を有する。我々はNTTデバイスイノベーションセンタとの共同研究で、KTN光偏向器をOCTイメージングに適応することで、従来のタイムドメイン方式のOCTでは達成することのできなかった大幅な速度の向上(100倍以上)を実現した。このOCTの高速化技術により、3次元OCTデータ取得の短縮化が期待できる。



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