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概要

放射線腫瘍学研究室では、臨床・生物・物理の融合を軸としたユニークかつチャレンジングな研究テーマを遂行しています。

放射線質の違いによるがん転移因子に与える影響

当研究室は、X線・炭素イオン線・陽子線と現在治療で用いられている線質を全て利用可能な全国でも稀な施設です。
放射線照射後に生存した細胞への影響、特に遠隔転移に関わる因子への影響はあまり良く知られていません。 当研究室では、長年、3つの異なる線質の違いによる放射線の遠隔転移因子に関わる影響を研究してきました。放射線の殺細胞効果のみならず、生存細胞の運命を理解することは、治療に使用する放射線質や1回線量など放射線治療の手法改善に役立つと考えています。

放射線照射誘発エクソソームの解析

エクソソームとは、細胞外小胞とも呼ばれ、その放出と内容物が現在癌治療において重要な意義があるとされています。
放射線照射された細胞からもエクソソームが分泌されることが近年分かってきました。しかし、放射線照射によって放出されたエクソソームの意義は未解明です。
当研究室では、同大学医学科 放射線治療学教室の協力の下、患者血液からエクソソームを分離し、放射線治療効果の予測を行うことができるか否か研究しています。また、細胞が放射線照射によって放出するエクソソームの解析を行うことで、放射線照射誘発エクソソームの意義を解明しようと試みています。

強度変調炭素イオン線治療法開発のための基礎的検討

炭素イオン線治療は、X線治療に比べて線量の集約性が高く殺細胞効果も高いことが知られています。一方で、その高い効果により、正常組織を取り巻くような癌やリスク臓器に近接した癌では、正常組織への障害発生リスクも高いといえます。この課題を克服するためには、高精度で不整形な照射を実現することが必須です。
当研究室では、大阪重粒子線センターと連携し、世界初の強度変調炭素イオン線治療を実現させることを目標としており、その生物学的効果検証を行なっています。

放射線免疫療法の最適化

第4の治療として、免疫療法が世に出てから癌治療研究の幅が大きく広がりました。中でも放射線治療との相性は良く、2つの治療を併用することで更なる癌治療成績向上が期待できます。特に、併用した際に遠隔転移巣も縮小させる効果(アブスコパル効果)に期待が集まっています。しかし、このアブスコパル効果は偶発的な現象であり、人為的に引き起こせるか否かは分かっていません。当研究室では、放射線照射と免疫チェックポイント阻害剤の投与タイミングを検討することで、最も原発巣並びに遠隔転移巣が縮小する方法を導き出そうとしています。また、放射線と免疫チェックポイント関連分子の影響を分子生物学的側面から示す事を目指しています。