2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)チェコパビリオン 「Living Longer, Living Well: Innovations for Healthy Ageing」に参加しました。


2025年6月24日に、大阪・関西万博のチェコパビリオンにて「Living Longer, Living Well: Innovations for Healthy Ageing」ヘルスカンファレンスが開催されました。本カンファレンスは、チェコ共和国政府およびマサリク大学の共催によって開催され、Healthy Ageingの実現に向けた先進的な研究や実践について議論することを目的としています。
カンファレンスは、マサリク大学のJakub Hlávka先生による「Living Longer, Living Well: Innovations for Healthy Ageing」と題した基調講演から始まりました。チェコと日本の寿命を照らし、その背景要因について様々な側面から解説されていました。その後のシンポジウムで、樺山教授がHealthy Ageingに関する研究や実践について講演しました。日本の急速な高齢化の現状について、大阪府の能勢町で実施している研究を交えながら、紹介があり、Healthy Ageingの実現には、単なる医療や介護の充実だけではなく、社会とのつながりの促進の重要性を強調するものとなりました。
パネルディスカッションのセッションでは、他の専門家と共に、産官学それぞれの立場から活発な議論が交わされました。特に聴衆として参加されていた、能勢町で健康づくりに従事している職員の発言は印象的で、山間地域における介護の現状を踏まえ、「健康長寿の実現には地域行政が本気で現場に向き合い、持続可能な支援体制を構築することが重要である」と力強い決意が語られました。また、大阪大学の大学院生からは、Healthy Ageingには人生の最終段階の尊厳やQOL(生活の質)の向上も含まれることを、エンド・オブ・ライフケアの考え方と共に解説されました。さらに、ギャラリーからは「高齢者になってからの介入だけでなく、若い世代のうちからの介入が必要ではないか」という視点も示され、ライフコース全体を通じたアプローチの重要性が共有されました。人間科学研究科の権藤教授からは「人間の寿命には生物学的な限界がある中で、我々研究者はどこまでHealthy Ageingを目指すべきなのか」という本質的な問いが投げかけられるなど、非常に白熱した議論が交わされていました。近畿厚生局地域包括ケア推進課、杉田塩課長からは、高齢社会における地域づくりについて、近畿地区における好事例を紹介頂き、各地域の魅力的で先進的な取組みをチェコの研究者と共有することができました。阪急阪神ホールディングスからは、より多くの人々に届けるための多様な介入事例が紹介されました。地域住民が楽しく参加できるような多種多様なイベントを継続的に開催することで、人々の行動変容につなげ、Healthy Ageingを促進するという企業ならではの柔軟な取り組みが印象的でした。
終始非常にアットホームな雰囲気で進行され、休憩時間やプログラムの合間には、参加者同士が自然に立ち話を交わし、互いの研究や課題意識について深く語り合う姿が至るところで見られました。
本カンファレンスは、国や地域、職種や専門分野を超えて、参加者一人一人が「Healthy Ageingとは何か」という問いに向き合い、共に考える貴重な場となりました。この貴重な機会を提供いただいた主催者、参加者の皆様に心より感謝申し上げます。






