本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構 (AMED)令和 4 年度「予防・健康づくりの社会実装に向けた研究開発基盤整備事業(ヘルスケア社会実装基盤整備事業)」採択された研究です。
参加自治体・参加者の方々への研究の説明はこちらをご覧ください。
予防・健康づくりの取り組みとして、行動変容等の非薬物的な介入手法への関心が広がりつつあります。薬を新しく開発する際には「治験」といって何段階にもなる厳密な研究が課せられています。しかし、ヘルスケアサービスの開発にはそういったものはありません。
例えば、生活習慣病の領域においては製薬会社が臨床的な有用性が確認された運動サービスを提供しており、女性の健康の領域においてはコンテンツ事業会社がアプリを用いた健康管理サービスを提供しているなど、様々な疾患領域でこうした介入手法を活用した新しいヘルスケアサービスが拡大しています。他方で、こうしたヘルスケアサービスや製品については、非薬物的な介入手法におけるエビデンス構築のための研究デザイン(特に評価手法や指標など)が十分に確立していないことや、サービス利用者による適切な選択のための専門的・科学的な情報が提供されていないことなどがヘルスケアサービスの社会実装の大きな課題となっており、その解決が求められております。
(国立研究開発法人日本医療研究開発機構 「予防・健康づくりの社会実装に向けた研究開発基盤整備事業(ヘルスケア社会実装基盤整備事業)」「概要」より https://www.amed.go.jp/program/list/12/02/004.html)
本研究は、予防・健康づくり領域におけるヘルスケアサービスや製品を科学的に評価する基盤を整備し、国民の健康課題に資する産業創出への展開を進めるための国の事業です。
ヘルスケアサービスのエビデンス構築、有用性検証に対して、医薬品、医療機器と同水準のエビデンスを求めることは、長期の観察期間や多数の参加者が必要となることから、ヘルスケア事業者による製品・サービスの開発や持続的なエビデンス構築に対し、大きな課題となります。科学的なエビデンスに基づいたヘルスケアサービスの開発を促進するためには、予防・健康づくりの特色を踏まえた、実現可能な研究デザイン、評価指標、リアルワールドデータの活用等の点を踏まえた新たな評価方法の検討が重要です。
本研究では、過度になりすぎない安全性を担保し、ヘルスケア機器によるデータを専門家の知見と組み合わせて、できるだけ短期に社会実装するための、実現可能性、適切性、有意義性、有効性の検証を可能とする研究デザインを開発し、その研究プロセスを可視化します。
そこで以下の3つの研究項目を開発することを目的としています(図1,2を参照してください)。
1) ヘルスケアサービスのユーザビリティの検証方法の構築:組み合わせプラグマティックトライアルの実施
2) ヘルスケアニーズに対するソリューション開発のための機械学習につながるアルゴリズムの開発
3) ヘルスケアサービスの社会実装のための研究プロセスの可視化とそのデザインの妥当性の検討
図1 研究の概要
図2 研究計画
研究開発責任者
山川みやえ(大阪大学大学院医学系研究科老年看護学教室 准教授)
研究開発分担者
池田 学 (大阪大学大学院医学系研究科神経精神医学 教授)
竹屋 泰 (大阪大学大学院医学系研究科老年看護学 教授)
樋上容子 (大阪医科薬科大学看護学部 准教授)
倉上弘幸 (大阪大学医学部附属病院未来医療開発部データセンター 特任助教)
吉田 美里 (大阪大学大学院医学系研究科老年看護学 特任研究員)
研究協力者
紀伊 信之(株式会社日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門 部長/プリンシパル)
鎌田大啓 (株式会社TRAPE 代表取締役/ 大阪大学大学院老年看護学 招へい研究員)
糀屋絵理子 (大阪大学大学院医学系研究科老年看護学教室 助教)
研究協力機関
NTT-PARAVITA株式会社
パラマウントベッド株式会社
西日本電信電話株式会社