研究紹介

お年寄りは幸せか?と毎日問い続けることが、私たちの仕事です。生活者としての視点から高齢者をとらえ、多職種連携の中心となる看護師の役割を、研究と臨床の両面から構築します。健康寿命の延伸から終末期の看取りまで、私たちの研究フィールドは多くの現場です。 超高齢社会において持続可能な医療提供体制を確立できる“次世代のパラダイム”の構築のために、看護学の研究者として私たちに何ができるかを日々考えながら、以下のような研究活動を行っています。


1.
Multimorbidityに対する最適な多職種介入の探索

従来の「病者としての高齢者」という視点に加えて、「生活者としての高齢者」という視点から、臓器別・疾患別の医療のみではサポートできない高齢者に対する看護師の役割を明らかにします。
文部科研 基盤研究B (研究代表者:竹屋)「看護師を中心としたmultimorbidityに対する最適な介入方法の探索」

2.
Polypharmacyに対する表現型モデル有用性と看薬連携の推進

高齢者のPolypharmacyに対して、患者の全体像を把握する表現型モデルの有用性について研究しています。看薬連携を推し進め、老年薬学領域の一端を担います。
厚労科研 (研究分担者:竹屋)「薬学的視点を踏まえた自立支援・重度化防止推進のための研究」
厚生科研 (研究分担者:竹屋)「レジリエント・ヘルスケアによる医療の質向上・安全推進に資する研究」

3.
わが国における高齢者総合機能評価の標準化

名古屋大学、国立長寿医療センター、東京大学、大阪大学の老年医学講座と共同し、高齢者総合機能評価に看護の視点を加味し、わが国独自の評価法を構築します。
文部科研基盤研究B (研究分担者:竹屋)「フレイルインデックス開発のためのコホート研究」
長寿医療研究開発費 (研究分担者:竹屋)「高齢者総合機能評価(CGA)ガイドラインの作成研究」

4.
終末期ケアのあり方に関する検討

わが国のACPの実態調査に加え、終末期ケアのあり方についてAIやバイオマーカーを用いて探索します。科学的な視点に基づいた終末期ケアの基盤作りを目指します。
勇美記念財団助成金 (研究代表者:竹屋) 在宅高齢介護家族・障がい者によりそう障害者福祉事業職人のアドバンス・ケア・プランニング」

5.
高齢者の生活をつなぐ看護師主導の新たなネットワークシステムの構築

退院後、複数の障害を抱えながら地域で暮らす高齢者にとって、継続して療養生活を支える医療が重要となります。病院・地域間での隔たりをなくし、高齢者が、いつ、どこにいても適切な看護ケアを受けるため、EHR,PHRを用いた情報連携を基盤とした生活中心の連携の在り方を、我々看護師によって構築します。
共同研究機関 大阪大学医学部附属病院 医療情報部
日本学術振興会科学研究費助成事業 研究活動スタート支援(研究代表者:糀屋)

6.
ICTによる睡眠指標を活用した病気前から軽度認知障害、認知症への継続的なケアの開発

① 地域在住の独居高齢者、及び老老世帯の高齢者への睡眠リテラシー向上のためのICTと保健指導を合わせた介入効果の検証と非薬物的介入のエビデンスを作ります。
共同研究機関:大阪大学医学系研究科精神医学教室、大阪府堺市、NTTPARAVITA、NTT西日本、パラマウントベッド株式会社 NTTPARAVITA共同研究費(研究代表者:山川)

② 軽度認知障害あるいは初期認知症のある在宅独居高齢者を様々なデバイスで長期間モニターすることによって安心して生活できる見守りシステムを確立します。
共同研究機関:大阪大学医学系研究科精神医学教室、公益財団法人浅香山病院、NTTPARAVITA、NTT西日本、パラマウントベッド株式会社
文部科学省Society 5.0実現化研究拠点支援事業「虚弱高齢者見守り研究」(研究分担者:山川)

③ 軽度認知障害者に対する睡眠データを活用したハイブリッド型看護外来の構築
共同研究機関:大阪大学医学系研究科精神医学教室、公益財団法人浅香山病院、NTTPARAVITA、NTT西日本、パラマウントベッド株式会社
文部科研基盤研究B(研究代表者:山川)「軽度認知機能障害者に対する睡眠データを活用したハイブリッド型看護外来の構築」

④ 非装着型睡眠モニターデバイスとリアルタイムモニターシステムの臨床応用に関する研究: 非装着型睡眠モニターデバイスとリアルタイムモニターシステムを病棟に導入するにあたり、使用前後の看護師の訪室や患者の観察内容や看護師の意識の変化を明らかにします。
共同研究機関:大阪大学医学系研究科精神医学教室、パラマウントベッド株式会社

7.
玉石混交のヘルスケアサービスの質を担保して社会実装につなげる新しい研究デザインを作ります

AMED令和4年度 「予防・健康づくりの社会実装に向けた研究開発基盤整備事業(ヘルスケア社会実装基盤整備事業)分野(2)予防・健康づくりに関するエビデンス構築のための新たなアプローチの研究方法の開発
共同研究機関:大阪大学医学系研究科精神医学教室、NTT-PARAVITA、NTT 西日本
AMED(研究開発代表者:山川みやえ)
「Personal Life Record(PLR)と専門職の知見を組み合わせたヘルスケアサービスの社会実装を促進する研究プロセスとデザインのフローの可視化」

8.
在宅認知症ケアにおける家族支援に関する支援策の検討

在宅認知症者を介護している家族介護者に対して、感情表出が認知症者本人、家族にとって悪影響を及ぼしているか どうかを判定するための登録データベースを作成し、介入方法を開発します。 共同研究機関:ななーる訪問看護ステーション、NPO法人ライフサポートりぼん、亥の子谷ケアプランセンター、公益財団法人浅香山病院、亥子谷地域包括支援センター
ニッセイ財団高齢社会研究助成実践的研究(研究分担者:山川)

9.
大阪府ビッグデータの分析

大阪府の国保医療保険・特定健診・介護保険が突合されたビッグデータを用い、生活習慣病等予防・健康寿命延伸をめざした調査分析のための研究を行っています。
共同研究機関:大阪大学キャンパスライフ支援センター
文部科研基盤B(研究分担者:山川) 「 大阪府のレセプト特定健診一体型ビッグデータに基づく効率的な特定保健指導運用の提案」