大阪大学大学院医学系研究科・生体病態情報科学講座 免疫造血制御学研究室

研究テーマ

トランスレーショナルリサーチ

WT1ワクチン療法時の末梢血内のWT1特異的CTLの頻度とクローナリティの解析

WT1ワクチン療法を用いたヒト臨床試験の検体の解析を行っています。WT1-tetramer抗体の染色によりFlow cytometryを用いてMHC ClassI分子-WT1ペプチド複合体を認識するCD8陽性T細胞(WT1特異的CTL)の頻度を測定しています。特に急性骨髄性白血病に対するWT1ワクチン療法ではワクチン接種前のWT1特異的CTL頻度と臨床経過の間に相関関係を認めました(Br J Haematology 2018)。この結果は、急性骨髄性白血病にとって末梢血は腫瘍部位であり末梢血内のWT1特異的CTLは腫瘍内免疫細胞(TIL)に相当するためと考えています。そこで更にWT1ワクチン療法を受けた急性骨髄性白血病患者の末梢血内のWT1特異的CTLを1細胞ずつ回収し、各細胞のTCRのCDR3部位をシークエンスすることで、各症例におけるクローナリティの推移を解析しています。その結果、それぞれの症例において2~5種類のクローンが中心的に働いていることが分かってきました。下図は経過中に高頻度のWT1特異的CTLを認め、2年以上の分子寛解を継続し治癒したと考えられる1例における各クローンの経時的変化をTRBV/TRBJでマッピングしたものです。WT1ワクチン療法前より見られていた1クローン(↓)はワクチン治療中15カ月にわたり15%以上を占めていました。一方でWT1ワクチン療法前に見られた残る2クローンは9か月までに消失し、新規の2クローンが代わりに増加し始めました。将来、治療が奏功する症例、奏功しない症例、経過中で効果を失う症例のそれぞれの症例での特徴を捉え、治療を奏功させる方法の発見につながることを目指しています。