老年看護学研究室サマープログラム・国際交流センター共催スペシャルレクチャー
「エンドオブライフ ― 意味あるケアを考える ― チャプレンシーと実践の視点から」を開催
2026年6月23日
フィリピンで理学療法学の学士号および修士号を取得し、現在、保健学専攻総合ヘルスプロモーション科学講座(神出教授の研究室)で博士課程の学生として研究を行っている、Christopher Caycoさんが高槻高校にて講演しました。
講演テーマは、「脳卒中の予防と管理における理学療法と運動の役割」。
フィリピンでの研究では、高齢者を対象とした神経リハビリテーションを専門としており、特に慢性期脳卒中患者に対する低コストかつ理論に基づいたリハビリテーション手法の有効性について研究してきました。現在、彼が日本で取り組んでいる研究も、高齢者の健康維持と身体活動の促進を目的としています。
当日は、まず、高槻高等学校の工藤校長先生とお会いする機会をいただきました。校長先生からは、高校で実施されているグローバル教育プログラムの概要や教育目標についてご説明いただきました。そのお話に感銘を受け、そのような教育活動に少しでも貢献できることを大変光栄に感じました。
講演では、まず脳の基本的な働きと、脳卒中が発症した際に脳内でどのような変化が起こるのかについて説明しました。また、私にとって二つの「故郷」であるアメリカ・カリフォルニア州とフィリピンについて紹介し、それぞれの人口構成、脳卒中が社会に与える影響、そして医療保険制度の違いについてお話ししました。
最後には、若い世代にとって運動がいかに重要であるかを伝え、日常生活の中で身体を動かす習慣を身につけることの大切さについてお話ししました。
講演後には、生徒の皆さんから多くの質問をいただく機会がありました。運動に関する推奨事項や脳卒中後の経過、さらにはリハビリテーションや医療現場が抱える課題に至るまで、非常に幅広い質問が寄せられました。生徒の皆さんの関心の高さと知的好奇心を強く感じることができ、大変印象的でした。
このセミナーが、生徒の皆さんにとって、世界へ目を向けグローバルリーダーとして未来に挑戦するきっかけとなることを心から願っています。
2026年6月18日(木)
保健学科棟3階大会議室において、本看護学専攻 老年看護学研究室が毎年主催しているサマープログラム(参加校:マヒドン大学(タイ)、台北医学大学、慈濟大学(台湾))の一環としてスペシャルレクチャー・ワークショップ「End-of-Life Care: Caring for Meaning at the End of Life – Perspectives from Chaplaincy and Practice」を開催しました。
本ワークショップでは、米国ミネソタ州でルター派牧師・チャプレンとして活動されている関野和寛氏を講師に迎え、人生の最終段階におけるケアについて、チャプレンシーの実践と学術的視点の双方からご講演いただきました。講義はすべて英語で行われ、サマープログラム参加者をはじめ、本学大学院生や教職員そして外部からの参加者など、多様な立場の参加者が集いました。
講演では、エンドオブライフケアを単に「死の直前の医療」として捉えるのではなく、「人生の意味をどのように支え、尊厳や人との関係性をどのように大切にするか」という視点から、その本質について深く考える機会が提供されました。医療・看護・スピリチュアルケアが互いに補完し合いながら患者や家族を支える重要性について、多くの実践事例を交えながら紹介され、参加者は多職種連携やチャプレンの役割について理解を深めました。
ワークショップでは、講義だけでなく、参加者同士によるグループディスカッションや意見交換も行われました。それぞれの専門や経験を踏まえながら、「意味あるケアとは何か」「患者・家族の価値観をどのように尊重するか」といったテーマについて活発な対話が展開され、参加者自身が自身のケア観や専門職としての在り方を見つめ直す貴重な機会となりました。
2026年6月15日~6月26日
本学老年看護学教室が主催する2週間のサマープログラムは、今年で開催10周年という節目を迎えました。今年は、台湾およびタイの3大学から11名の大学院生を迎え、「Redesigning Care: Technology, Community, and Human Experience」をテーマに、講義、ワークショップ、施設見学、グループディスカッションなど、多彩なプログラムを実施しました。
研修生は、日本の高齢者ケア、地域包括ケアシステム、認知症ケア、終末期ケアに加え、医療・介護分野における先進技術について理解を深めました。また、多国籍の参加者との交流を通じて、それぞれの国や地域が抱える課題や取り組みについて意見を交わし、新たな視点や気づきを得る貴重な機会となりました。
さらに、プログラム運営を支えた老年看護学教室の学生アシスタント約20名にとっても、本プログラムは大きな学びの場となりました。研修生との交流を通じて、多様な文化や価値観への理解を深めるとともに、コミュニケーション能力の向上や研究活動への新たな示唆を得る機会となり、自身の研究や将来のキャリアについて国際的な視点から考える貴重な経験となりました。
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私はこの講義を通して、日本が超高齢社会にどのように対応しているのかを学ぶことができました。特に印象的だったのは、AIやセンサー技術などのテクノロジーが、高齢者の自立や安全を支えるために活用されていることです。講義を受ける前は、テクノロジーは人のケアを代替するものというイメージを持っていましたが、実際には人とのつながりやケアを支援するための重要な手段であることを理解しました。
また、「Aging in Place」という考え方を学び、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けるためには、医療だけでなく地域環境や社会的なつながりも欠かせないことに気づきました。この講義を通して、高齢社会への対応を高齢者本人の視点から考えることの大切さを学びました。
地域包括支援センターや四恩学園を訪問し、日本の地域福祉の実践について学びました。特に印象的だったのは、高齢者だけでなく、子どもや家族、さらには心の健康に課題を抱える人々まで含めて支援している点です。また、幼稚園と高齢者施設が同じ建物内で運営され、世代を超えた交流が自然に生まれている様子を実際に見ることができました。
私は、高齢者が支援を受ける存在であるだけでなく、社会の中で役割を持ち続けることの大切さを改めて感じました。地域のさまざまな機関や人々が連携しながら、人生のあらゆる段階を支えている日本の仕組みは、とても参考になると感じました。
「もしバナゲーム」を通して、自分にとって本当に大切なものは何かを改めて考える機会になりました。死について話すことは、多くの人にとって難しく避けられがちなテーマですが、このワークショップでは自然な形で自分の価値観や人生の優先順位について話し合うことができました。限られた時間の中で選択を重ねるうちに、自分の考えが状況によって変化することにも気づきました。
また、終末期に関する希望を事前に共有することは、本人の意思を尊重するだけでなく、家族や医療・介護従事者の負担を軽減することにもつながると学びました。この経験を通して、患者一人ひとりの価値観に耳を傾けることの重要性を改めて実感しました。
このワークショップを通して、住まいは単なる生活の場ではなく、高齢者の健康や自立した生活を支える重要な基盤であることを学びました。私はこれまで高齢者支援というと医療や介護を中心に考えていましたが、住環境や地域とのつながりも同じくらい重要であることに気づきました。
また、日本・台湾・タイの参加者との議論を通じて、高齢化の進行度は異なっていても、一人暮らし高齢者の増加や介護人材不足など、多くの課題を共有していることが分かりました。特に、「人とのつながりを大切にすること」が地域包括ケアを支える重要な要素であるという考え方は強く印象に残りました。
Ricoh Osakaへの訪問では、デジタルトランスフォーメーション(DX)やテクノロジーが、働き方や地域社会の課題解決にどのように活用されているのかを学びました。私は、技術革新とは新しい機器を開発することだけではなく、人々のコミュニケーションや協働をより円滑にすることでもあると感じました。また、柔軟な働き方や従業員の自主性を重視する企業文化にも強い印象を受けました。
介護や医療の分野においても、テクノロジーができることはテクノロジーに任せ、人にしかできないケアにより多くの時間を使うことが重要だと学びました。この訪問を通して、企業が高齢社会の課題解決に果たす役割について新たな視点を得ることができました。
タイや台湾の研修生との交流を通して、医療・介護制度や社会福祉の仕組み、家族観や価値観など、さまざまな違いに触れることができました。一方で、高齢化や地域共生社会の実現といった課題は国を超えて共通していることにも気づきました。
異なる文化や背景を持つ人々と意見を交わす中で、自分自身が当たり前だと思っていた考え方を見つめ直すとともに、多様性を尊重しながら協働することの大切さを学ぶ貴重な機会となりました。
2週間にわたる交流を通して、円滑なコミュニケーションには語学力だけでなく、「伝えようとする姿勢」と「理解しようとする姿勢」が重要であることを実感しました。専門的な内容を英語で説明する難しさを感じる場面もありましたが、簡単な言葉やジェスチャー、表情を活用しながら対話を重ねることで、お互いの理解を深めることができました。
この経験は、自身の英語力向上への意欲につながるとともに、異なる言語や文化を持つ人々と関係を築く自信にもつながりました。
2026年5月28日
ブレーメン大学副学長のMandy Boehnke教授が、本学を表敬訪問されました。
ブレーメン大学は、本学の複数の部局と学術交流協定を締結しており、本専攻とブレーメン大学人間健康科学部との間では、2024年10月より積極的な交流が開始されています。
当日は、尾路学科長によるドイツ語での歓迎の挨拶に始まり、これまでの交流の振り返りや今後の連携について、和やかな雰囲気の中で活発な意見交換が行われました。
また8月には、保健医療国際交流センターの皆巳副センター長、ならびにMOUコンタクトパーソンの神出委員がブレーメン大学を訪問する予定であり、今後さらに具体的な連携に向けた協議を進めてまいります。
2026年4月20~5月16日
香港大学看護学部3年生2名ならびにタイ・マヒドン大学ラマティボディ看護学部3年生2名が、2026年4月20日(月)~5月16日(金)の4週間、本学でインターシップ研修を行いました。香港大学とは2018年にMOUを締結し、香港大学が主催するHong Kong International Nursing Forum や短期インバウンド交流プログラムなどに、本学の教員、学部生・大学院生も多く参加し、学術交流を続けています。またマヒドン大学ラマティボディ看護学部とは2022年にMOUを締結し、毎年本学の看護専攻学生がマヒドン大学で開催される研修プログラムに参加しています。また先方からも日本の医療を学びに年に数回、1-2週間程度の短期プログラムを組んで、主に大学院生を当看護専攻で受け入れるといった教育・学術的交流を盛んに行って来ました。
インターシップ研修は看護学専攻の全領域の教員・大学院生が担当しました。各領域の特徴を学習できるゴールデンウィークを挟み実質3週間の研修プログラムが企画されていました。最終日にはインターシップ研修の学びの会を開催しました。研修で学んだ日本の医療・看護・保健事業等を、香港やタイの事例と比較した素晴らしい内容の発表がされ、4名の看護学生が多くのことを学び実りの多い研修プログラムとなったようでした。
2026年4月5日~10日
2026年4月5日から10日にかけて、University of Ouluを訪問し、大学院生に対する講義および現地研究者との交流を行いました。本学からは山川みやえ准教授に加え、本学臨地教授である田中綾先生も参加し、日頃の教育・実践に基づく知見を共有しました。
講義では、日本における老年看護学の実践や、地域に根ざしたケアのあり方とAIについて紹介するとともに、フィンランドにおける教育・研究との共通点や相違点について活発な意見交換が行われました。特に、ケアの質向上に向けた国際的視点での議論は、双方にとって大変有意義な機会となりました。
また、滞在中には、HI Lights Seminar 4: Extended Human Mind & Multi-Realitiesに参加し、ハイブリッドインテリジェンスに関する最新の研究動向にも触れることができました。人とテクノロジーの協働による新たな知の創出について、多くの示唆を得る機会となりました。
さらに印象的であったのは、10年以上前の交流の際に持参したお土産が、現在も大切に飾られていたことです。長年にわたる信頼関係と温かなつながりが今もなお大切にされていることを実感し、本学とオウル大学との継続的な交流の意義を改めて認識しました。
本訪問を通じて得られた学びとネットワークを今後の教育・研究活動に活かし、国際的な連携をさらに深化させてまいります。