阪大の現代GP 「親と子の心を支援できる人材育成教育の構築」
親と子どものこころの理解と適切な支援
平成18年度現代的教育ニーズ取り組み支援プログラムで選定された「親と子の心を支援できる人材育成教育の構築」は、看護学教育における「こころに関わる教育」を、さらに実践的に発展させる取り組みです。
親と子どものこころの理解と適切な支援は、虐待やいじめ・引きこもりの防止にもつながり、これらの活動は国家的にも緊急性の高いものです。これを成功させる鍵は医療・保健・教育・福祉分野の専門職がその技術を習得することです。こころへの対応は近年欧米で発展してきましたが、わが国への導入の歴史は浅いです。
本プログラムは保健分野の人材育成をする本学科において、学生がその基本的な力を習得することを目指します。これまでの学部教育でのこころの教育に加え、大阪府の患者組織や地域組織との連携の中で、実際に親子とのふれあいを体験する新しい学習を企画し、実践的な援助力の習得を目指します。本プログラムの成功は大学教育に広く発展させることが期待できます。
保健学科看護学専攻の卒業生は
本学科看護学専攻の卒業生は、看護師、保健師、養護教論、助産師、精神保健福祉師など広範な分野で活動しています。このプログラムで得られる能力は今このような分野が切に求められており、大切なスキルとなることが期待されます。
地域に生き世界に伸びる
本プログラムの全体の目的は、本学科において、「子育てに困難を感じている親と子のこころの理解と支援」に関する教育の改善を図り、本学の教育目的である「地域に生き世界に伸びる」人材育成に資することです。
看護学はあらゆる年齢層、あらゆる健康レベルの人々を対象とする実践的学問 です。病気をもつ人はもとより、病気回復後の社会復帰や、健康な人の健康の 維持増進、軽度の異常や不調をもつ人の健康維持や社会参加を支援することな ど多岐にわたっています。
本プログラムは、このような特徴を持つ看護学の教育において、子どものこころの発達と親子の相互作用を理解し、さらにはより専門的に対応の難しい子どもたちとその親への支援方法を習得し、実際に地域で活動できる能力をもった学生を育成することです。具体的には、以下に述べるような取り組みを行います。
- 基礎的段階(学部1年):
合宿によるコミュニケーション研修、地域ネットワーク組織に参加研修
- 知識・技能の形成(学部2・3年):
「こころの発達と障害」を支援できる知識と技術の習得を目指します。
具体的には、既存の科目の内容を再構成・現場からの参画を行います。
→当事者・家族、模擬患者の授業への参画
- 地域に役立つ力を育てる体験学習(学部3・4年):
臨地実習でコミュニケーション能力の強化を行うとともに、ペアレント・トレーニングを用いた実践的学習を行います。
本補助事業の本年度の目的は、上記の1.2.3.の実施を達成するために、海外での情報収集、教育プログラムの開発、地域組織との連携の強化、FD活動の活性化、およびホームページやシンポジウムによる地域住民への情報提供を図ることです。
【現代GPとは】
各大学・短期大学・高等専門学校等(以下「大学等」とします。)が実施する教育改革の取り組みの中から、優れた取り組みを選び、支援するとともに、その取り組みについて広く社会に情報提供を行うことにより、他の大学等が選ばれた取り組みを参考にしながら、教育改革に取り組むことを促進し、大学教育改革をすすめています。この「優れた取り組み」を「Good Practice」と呼んでいます。これは、近年、国際機関の報告書などで「優れた取り組み」という意味で幅広く使われており、諸外国の大学教育改革でも注目されている言葉です。なお、この言葉を略して、「GP」と呼んでいます。
くわしくは、文部科学省のサイトをご覧ください。