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研究能力も身につく大阪大学から研究職へ

プロフィール

帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座
辰巳 友佳子
2010年大阪大学医学部保健学科看護学専攻卒業後、大阪大学医学部附属病院に看護師として従事。2015年大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻博士後期課程終了。博士後期課程在学中、日本学術振興会特別研究員(DC2)として研究に従事。国立循環器病研究センター予防医学疫学情報部の流動研究員を経て2016年4月より現職。

大阪大学を選んだ理由
小学校の時の憧れ

  • 始まりは小学生のころです。大阪大学吹田キャンパスの近くまで来て、両親に「ここが大阪大学だ」と教えられた時に、“ここに入りたい”と強い憧れを持ちました。

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    両親が医療系職種だったので、医学部や看護学専攻の歴史が深い大阪大学は、両親の希望でもあったようです。看護学専攻が4年制学部になったのも、国内では早い方です。それは大阪大学が看護学の重要性を認識していたからではないかと、卒業してから感じることが多いです。

  • 大阪大学で身につけたこと
    人について深く学べる

  • 4年間看護学・保健学を学ぶことで、人を知ること、人を理解すること、人を看るという姿勢が身についたように思います。また卒業論文作成の際は、大学院さながらのご指導をしていただきました。授業や実習では、知識・技術を習得したのはもちろんですが、同時に医療人としての心のような、目に見えない何かを教えていただいたように思います。先生方の御心のこもった熱心なご指導と、学生が将来看護師・保健師として出会う人々に対する愛情の所以かと思います。研究をするにも、当時の学びが基盤となっています。

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    卒業論文作成では、少人数制で英語論文の読み方などを教わり、各ゼミ生がやってみたい研究を先輩も交えてバックアップしてくださいました。他学科の研究室に学びに行っている学生もいました。研究能力も身につくというのは、やはり大阪大学の強みだと思います。研究職を選んだ私にとっては非常に貴重でした。

  • 印象に残る授業・実習など
    看護診断と研究

  • 学部では看護診断の講義、大学院では学位論文作成が印象に残っています。

    看護診断の講義では患者さんについて理解するために、事例についてグループワークをしました。大学生の私たちにとっては、世代も違う、病気を患った方の社会的背景や気持ちを理解するのはとても難しく、一人の人についてあんなにも一生懸命考えたことはありませんでした。レポートも山のように書いた気がします。この講義は看護職として人と向き合う心構えをもって実習に臨むことに繋がりました。

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    大学院では、教授の「自分が関わるなら面白いものにしてやろう、という気持ちで取り組みなさい」というお言葉が今でも心に刻まれています。研究は、自分のしたいことだけしていればいいわけではありません。けれども、偶然に関わることになった研究にもその精神で向き合えば、新たな視野が生まれ、思いもしない世界が開ける可能性があります。

  • キャンパスライフの思い出
    とにかく楽しかった

  • とにかく楽しかったです。豊中キャンパスで学んでいたころは、よく阪急宝塚線の石橋駅を超えて、宝塚に観劇に行きました(授業時間外です)。それをきっかけに、芸術にふれることが好きになりました。

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    サークルで出会った友達ともいまだに交流があり、かけがえのない出会いを得ることができました。学祭もいい思い出で、そのとき作ったトレーナーを今でもルームウェアとして活用しています。

  • 大学院に進学した理由
    周囲の勧め

  • 大学院への進学当時は、卒業後の進路を明確に持っていたわけではありませんでしたが、周囲の勧めもあり、漠然と将来のキャリアアップを考えて進学しました。

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    ただ、研究室選びでは、これまで自分が興味を持ったこと、経験してきたことを将来に繋げたい、無駄にしたくないと考えました。結果的に、高校生時代に頑張った英語や数学、大学で身につけたこと、現場に出て経験したことすべてを活かすことのできる研究職への道筋となったので、進学して本当に良かったと思います。

  • 今の仕事を選んだ理由
    研究が楽しかった

  • 大学院での研究が非常に楽しく、性に合っており、一生研究を続けたいと思ったからです。

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    大学院進学前の臨床経験年数が少なかったので、博士課程終了後は一度臨床に戻ろうかとも考えましたが、やっと身につき始めた研究技能が後退してしまう可能性があったので、研究所への就職を選びました。幸い、その後現職に転じることができました。大学院のころから、その研究分野で著明な先生方に自分の存在を知ってもらいたく、学会などで自己アピールを続けたことが功を奏したのかもしれません。初めて大阪を出るのは勇気がいりましたが、尊敬していた先生のもとで多くの事を学びたいと思い、決断しました。

  • 仕事のやりがい
    教育と研究の二本柱の遣り甲斐

  • 今の仕事は教育と研究の二つの柱があります。本務先の対象学生は医学生ですが、非常勤講師として看護学生にも公衆衛生学を教えています。

    授業の感想で、“保健師になりたいと思った”、“初めて知って驚いた”といった微笑ましい感想をたくさんもらいます。自分と同じ領域の専門家を育てることに、大きなやりがいを感じることができます。

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    研究は、自分が出した結果が世の中に還元されるのに時間がかかりますが、論文という形で確実に残ります。それがどこかで多くの人々の健康を守っていると信じています。現在は高血圧治療ガイドラインの作成に携わったり、日本糖尿病学会でのシンポジストをさせていただくなど、貴重な機会にも恵まれています。また、研究の世界は最新の世界に触れる機会が多く、気持ちが未来に向かうので、楽しんで仕事に取り組んでいます。

  • 後輩への助言
    努力を続けてみて

  • これを読んでくださっている方は、進学やステップアップを考えている受験生や在校生でしょうか。不安や迷いを抱えながら一生懸命頑張っておられるでしょうか。

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    今、もし辛い思いをしていても、努力を続けてみてください。いつか過去の自分を振り返って、自分自身に感謝する時が必ず来ます。挫折や失敗を経験しても、次につなげる糧になります。そして、それが次の成功につながったとき、挫折や失敗をせずに手に入れるよりも大きなものを手に入れているはずです。ただ、あまり真面目になりすぎないようにしてください。ときには流れに身を任せることも大切で、そこでの予期せぬ出会いや発見が将来を導いてくれることがあります。

  • 貴方にとって大阪大学とは
    故郷

  • 一言、故郷です。大学、大学院を通して、どれだけ成長させてもらったか、言葉では言い尽くせません。

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    大学受験とは違い、大学以降は人と協力して課題を乗り超えることが多くなります。特に保健学科はそうかもしれません。そのため、苦しかったはずのことも楽しかった記憶となっています。ふり返ると、大阪大学は真面目で実直で、かつおおらかな学生が多いように思います。たくさんの素晴らしい出会いも人生においてかけがえのないものになっています。

  • 看護学専攻の魅力

  • 看護学専攻は資格を取得することができ、社会からの需要も高いです。一度離職しても専門性をもって復職することができます。特に、保健師は家庭を持ちながら仕事を続けている方も多い印象があり、自分の人生経験を仕事に役立てている先輩方もたくさん見受けます。また、自分の良い時期に大学院に進学すればキャリアアップも可能であり、看護学を専攻することは、長い人生を充実させることにもつながるのではないかと思っています。

  • 教員からのメッセージ

    同じようなキャリアを目指す方へ

    辰巳先生は、卒業研究・大学院の研究で研究力を身に着け、帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座で助教として研究と教育活動を行っています。学部だけでなく、大学院でも、積極的に学会やセミナーに参加し、研究成果を公表し努力されました。公衆衛生は、医学の知識だけでなく、人の生活全般・環境を整える看護の知識が重要ですが、中々認識されていませんでした。その公衆衛生学に看護の風穴を開けた先駆者です。今後の活躍を楽しみにしています。

    また、看護の専門性は、社会学、国際保健学などでも認識されつつあります。看護の専門性を武器に、他の分野で活躍したい方に保健学科を目指してほしいと思います。

    こんな人に目指して欲しい

    保健師教育課程は、現在大学院に移行しました。患者個人でなく、地区、地域といった大きな集団から疾病予防や環境調整を試みる保健師に興味がある方は、保健学科卒業後に大学院への進学をしましょう。
    2年掛けて、地域での実習から学位論文作成まで、この中で、保健師としても多くのことを身につけることができます。