京都大学大学院 医学研究科 人間健康科学系専攻 情報理工医療学講座 医学物理学分野
肺気胸という病気を患って、センター試験前に入退院を繰り返し、手術もしました。元々、理工系学部への進学を考えていたのですが、これをきっかけに医療系学部を考えるようになりました。医学と理工学の両方を学べる大学はどこだろう?と調べていると大阪大学の保健学科 放射線技術科学専攻にたどり着きました。
医学と理工学の両方を学べる専攻に入学しましたので、医学的な知識と理工学的な考え方やデータの扱い方を身につけることができました。医学的な知識は医師を含んだ他の医療スタッフと議論をするときに、また、理工学的な考え方やデータの扱い方に関しては、研究を行うときに大変役立っています。
放射線技術科学専攻を志望したきっかけは「がんに対する放射線治療」でした。私が入学した2000年は、国内における高精度放射線治療の黎明期であり、現在では日常使用されている肺定位放射線治療や強度変調放射線治療などが開始され始めていました。これらの治療法でがんが治ることを知って大学に入学しましたので、放射線治療に関する授業や実習などは印象に残っています。
全学共通教育では自分が受けたい授業を選択できたり、また、授業も1限から始まらないというスタイルが新鮮でした。今思い返すと、全ては自己責任だったのだな、と感じています。専門教育になると、全学共通教育の頃とは一転して授業が多くなり大変でしたが、友人らと一緒にワイワイ言いながら試験勉強をしたことはいい思い出となりました。
幸いにも、患者さんのデータや放射線治療装置を使わせてもらえる環境で卒業研究ができていました。研究室の仲間だけでなく、放射線治療施設に所属しているスタッフとも話をしながら一緒に研究ができましたので、そのような環境に身を置けたことも大学院に進学したきっかけになったように思います。
大学院では放射線治療に関する研究だけでなく、臨床業務の補助もさせてもらっていました。二足のわらじを履いていましたので、毎日忙しかったのですが、研究力と臨床力が養われました。博士号を取得後は、これまで培った研究力と臨床力を生かせる環境で仕事をしたいと思い、大学病院での就職を選択しました。
「今の仕事を選んだ理由」で述べたように、研究と臨床の両方に携われる点にやりがいを感じています。現在ではそれに加え、後進の育成にも励んでいます。若いスタッフや学生たちが高い志を持って、研究と臨床に携わっている姿を見ることにやりがいを感じています。
年をとると、同じ職場に居ても仕事の内容が変わってきて、自分がやりたいようにできる時間がだんだんと減ってきます。自分のやりたいことができる時間を持っている、ということは非常に貴重なことです。ですので、何でもいいと思いますので、何か一つでも集中できることを見つけて、自己責任の元で、それを完遂すればよいと思います。
私にとっての大阪大学は、まさに将来の道標となりました。現在までのキャリアパスは、まさに4回生の研究室配属で決まったといっても過言ではありません。私には専攻内の縦のつながりがありましたので、そこは今でも大切にしています。専攻外の横のつながりがある人は、そこも大切にしてほしいと思います。そのつながりは将来のいろんなシーンで役に立つはずです。
大学入学がゴールではなく、その後の人生の方がはるかに長いですので、そのことを意識して、毎日楽しく過ごしてください。