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系統立てて学んだ医学の知識、経験を生かして創った薬を患者さんへ届けたい

プロフィール

塩野義製薬株式会社 創薬疾患研究所
南地 勇
2006年大阪大学医学部保健学科検査技術科学専攻を卒業。2008年同大学大学院医学系研究科保健学専攻博士前期課程を修了。同年、塩野義製薬株式会社に研究員として入社し、現在に至る。在職中に、鳥取大学大学院医学系研究科機能再生医科学専攻博士後期課程を修了し、博士号を取得。入社以来、主として創薬研究上流における標的遺伝子の妥当性評価や、創薬基盤技術の構築に従事。

大阪大学を選んだ理由
総合大学である大阪大学で色々な教養を広く学びたかった

  • 元々医学、特に医学研究に興味があり、医学系の学部を探していました。しかしながら当時、医学系学部で大学院まで進学可能な大学は多くなく、大阪大学は数少ない候補の中の1つでした。また、医学以外にも色々な教養を広く学びたかったこと、多くの価値観に触れてみたかったことから総合大学を志望し、その点でも多様な学部を持つ大阪大学は魅力的でした。吹田キャンパスの雰囲気の良さもあり、願書提出の頃には大阪大学が第一志望になっていました。

  • 大阪大学で身につけたこと
    医学を系統立てて学んだ経験が創薬に役立っています

  • 専門教育で身につけた医学の知識、臨床実習での医療従事者としての体験は、今の仕事で大きく役立っています。
    薬の研究職というと、医学や医療からは離れた仕事だと思われがちですが、本当に求められる薬を創るためには医療現場の事を知っている必要がありますし、より良い治療薬を創製するためには医学・病気の知識が欠かせません。

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    他の学部では医学を系統立てて学ぶことは難しいため、今でも私の武器の一つになっています。また、研究者としての基礎、例えば科学実験の基礎やデータの扱い方、また研究倫理や科学と社会とのかかわり方なども、大学で身につけたことの一つです。当時はその重要性にあまり気が付いていませんでしたが、社会の中で研究に従事する身として、今では欠かせない知識です。

  • 印象に残る授業・実習など
    一般教養の講義で価値観の根幹を身につけることができました

  • 一般教養時代の、文化人類学の講義が非常に記憶に残っています。フィールドワークで少数部族を含めた各コミュニティーに入り込み、その文化を形作った背景を比較・解析していく、という教官自身の研究を紹介する講義内容でしたが、自分を含めた人の分化や価値観がどれほど環境などのコンテクストに依存したものであるかを知る機会となりました。

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    その人の価値観の背景に何があるのか、どうすれば価値観の違いを超えて協調できるのか、そういった問いかけを今でも持ち続けることになったきっかけであり、私の価値観の根幹を形作っています。こうした思いがけない出会いがあることが、総合大学の魅力ではないでしょうか。

  • キャンパスライフの思い出
    講義・実習をともに受けることで一生ものの友人が出来た

  • 一般教養時代は講義もそこそこに、どちらかといえばアルバイトにサークル、人付き合いなどに精を出していました。
    時間はたくさんあったので、とにかく色々なことに手を出していました。今振り返れば無駄な時間も多かったと感じますが、様々な経験の中で、自分が本当に興味のあること、やりたいと思えることを自分の中で選り分けていった時期でもあったと思います。

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    また専門教育に入ってからは、毎日同じクラスのメンバーで同じ講義や実習を受けるので、必然的にクラスの友人と一緒に過ごすことが増えていきましたね。仲のいいクラスメイトとは今でも定期的に会うような間柄で、一生ものの友人です。

  • 大学院に進学した理由
    自身で研究を完遂したかった

  • 学部4回生で研究室配属となり、基礎研究を体験したことで益々研究が好きになっていたので、大学院への進学にあまり迷いはありませんでした。医療従事者として病院で勤務することにも興味はありましたが、将来病院で働くとしても少なくとも1つ、自身で研究を完遂したいと考えていました。また当時携わっていた研究テーマ(がん遺伝子に関する研究)に引き続き興味があったので、お世話になっていた研究室にそのまま進学しました。

  • 今の仕事を選んだ理由
    薬の研究を通して直接的に社会や患者さんに何かを届けたい

  • 大学院で研究に打ち込むうち、やはり将来は医学研究に従事したいと考えるようになりました。一方で、大学での基礎研究はその成果が社会に還元されるまでに長い時間を要しますが、私はより直接的に社会や患者さんに何かを届けたいと思うようになりました。

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    そこで、製薬会社や医療機器メーカー、健康食品メーカー等の研究職について企業研究を開始しました。なかでも、現代医療を支える医療用医薬品を創ることができる製薬企業に魅力を覚え、最終的には製薬企業の研究職に的を絞って就職活動を行いました。その中で、ご縁のあった現職の塩野義製薬株式会社の研究職として勤務することになりました。

  • 仕事のやりがい
    個人では到底成し得ない大きな成果をチームで達成できる

  • 上でも触れていますが、1つは現代医療を支える薬を創り、直接患者さんにそれを届けることができる点です。薬の研究開発には10年以上の時間を要することが多く、成功確率も低いため、自分が関った薬が実際に患者さんに届けられる機会は決して多くないのですが、それでも自分たちが創った薬が患者さんの命や生活を支えていることを考えると、やりがいのある仕事だと思えます。

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    また、「チームでのものづくり」という点も面白さの一つです。創薬は、非常に長い期間と多様なプロセスを経るため、基本的には各領域の専門家がチームを形成しながら進めていきます。個人では到底成し得ない大きな成果をチームで達成できた時は非常に嬉しいですね。

  • 後輩への助言
    視野を広く持って自分に合った仕事を選んで

  • 自分の可能性や興味の範囲を自分で縛らないで、視野を広く持って欲しいと思います。進学先や就職先を選ぶ時、ほとんどの方が「自分は何に興味があるだろう」「自分は何がしたいのだろう」と顧みると思います。それ自体はとても重要なステップですし、それがなければ軸のない人間になってしまいます。一方で、その時々のスナップショットに縛られ過ぎずにいろんなことに興味を持ってみてほしいとも思います。

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    私は在学中一貫して「研究」に興味を持ち、それが現在の仕事にも繋がっていますが、一方で先に述べた文化人類学との出会いや、病院実習での経験、あるいは友人や家族との繋がりを経て、ずいぶんと世界の捉え方が変わったように思います。変化の激しい今後の世界を楽しむためには、確固たる自分の軸と共に、そういった柔軟でしなやかな価値観を持ち合わせることが重要なのではないでしょうか。ぜひ偶然の出会いを大切に。大阪大学ならそのチャンスは沢山あると思います。

  • 貴方にとって大阪大学とは
    一生ものの仕事、知識、考え方、友人、師に出会えた場所

  • いろんなものとの出会いの場であり、自分の軸や価値観を形作った場でもありました。一生ものの仕事、知識、考え方、友人、師に出会えた場所です。これまでに、自分の価値観が引っくり返るようなタイミングは何度かありましたが、その中でも大阪大学での経験は今の自分を最も強く形作っているように思います。自分を育ててくれた大阪大学に心から感謝すると共に、後に続く後輩のためにも、大阪大学の名に恥じないよう頑張らねばならないと身が引き締まる思いです。

  • その他
    一緒に創薬に挑戦しましょう

  • 創薬研究は、先述の通り相当な苦難を伴いますが、それを補って余りある魅力があります。大阪大学を卒業された一人でも多くの方が薬創りに興味を持ち、一緒に創薬に挑戦して頂けることを願っています。

  • 教員からのメッセージ

    南地先生は大学院でがん遺伝子に関する研究を行い、修士号を取得した後に製薬会社で創薬研究に携わっています。検査技師が製薬会社?と不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、大阪大学保健学科の研究室では創薬に結びつくような基礎研究も盛んに行われており、研究室で身についた知識・技術と学部での系統だった医学を学ぶ事ができるカリキュラムが企業研究者としての基盤を作ります。新たな薬や検査法を世の中に送り出して社会に貢献したいと考えている人は是非この道を目指してください。